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「私は貝になりたい」見てきました。
正直、重かった。
何かずしっと体の中に落とされたようなそんな感じです。

ストーリーは、高知の田舎町を舞台に清水豊松という理髪店主が戦争に行き、所属した部隊でたまたま大阪爆撃の捕虜を殺す羽目となり、戦後そのことをGHQに裁かれる、その間の夫婦、家族愛であったり、やらざるを得なかった罪に対する裁きへの憤りなどが描かれています。

とにかく重かったのは、貧困の中でやっと小さな幸せを見出し始めた一庶民が、戦争というものに巻き込まれ、自分の意思など持てない狂気のような状況の中での事件についての不当な裁きに対して、必死で抵抗するものの報われることがない、そのやるせなさにあると思います。

私が、印象に残ったのはGHQの法廷の場面と、最後死を前に巣鴨プリズン付きの僧侶(牧師?)と豊松が話す場面。
GHQの法廷の場面は、それぞれの立場の人間達が保身を図りながら申し開きをし、また豊松がいくら捕虜を殺した経緯について説明してもGHQには全くその言葉が通じていかない(日本人ならその状況は容易に理解できるのに、命令に従わないという選択肢はありえないということがGHQには全く通じない)
人間のエゴや、矮小さ、絶望が感じられました。

また死を前に話す場面では、「生まれ変わるとしたら何になりたいですか?」と豊松は問われ、「金持ちになりたい」と言います。
今の感覚だとその場面で「金持ち?」って、少し違和感がありそうな気もするけれど、この時代背景を考えると戦争と同時に貧しさというのはそれほどまでに切実であったり、人間性を奪う一因になりうるということだろうなと思いました。

またあまり予備知識がなかったので、何で「私は貝になりたい」なんだろうって思っていました。
でもそれは、「人間もいやだ」「牛馬のように人間に使われるものもごめん」
生まれ変わりたくなんかないけれど、どうしても生まれ変わらなければいけないならば、家族その他いろいろなことに対する感情も持たなくて済む「貝」になりたいということなんですね。
それだけ、人生すべてに対する絶望のあらわれが「貝」ということなんだなと思いました。


息子にもこういう映画しっかりみてほしいな、こういう映画を通じて戦争ってそれだけ悲惨なものなんだ、日本にもこんな貧しくて、大変な時代があったんだということを知ってほしいと思いましたが、はたして今の彼らにこれをみて理解できるだろうかとも思いました。
何で、あんな理不尽な状態に置かれなきゃいけないのか、今の恵まれた環境の中ではピンとこないのではとも思います。(それでも、機会があれば接してほしいと思いますが)


中居くん良かったですよ。
豊松が人格者でも何でもなく、本当にささやかな幸せを求めて必死であがいている様子、自分をこの状況においこんでいった上官に対しても思わず情をかけてしまう優しさ、死を自分の中で受け入れることができず絶望の中で死んでいく様が感じられました。
子役のケン坊が、若干の救いであると同時に悲しさを増す要素でもあります。

エンドロールで流れるミスチルの「花の匂い」胸にしみます。

評価としては★★★でしょうか。

大好きな映画という表現ではないけれど「観てよかった」そう感じた映画でした。

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2008.11.26 / Top↑